中小企業にとって、税理士事務所は、ある意味運命共同体だと思います。
会社の数字のことから、ビジネスの内情についても、共有する関係となりますので、
短期間に替えるわけにもいかず、慎重に検討されるかと思います。
良く、相性が大事だ、とか言われますが、どういうポイントで相性を考えれば良いのでしょうか?
事業会社で税理士を依頼する立場の経験もある弊所代表税理士の坂元が考える税理士を選ぶポイントをお伝えいたします。税理士選びの参考になれば幸いです。
ポイント1 受けたいサービスが提供されるか
海外拠点もあるので国際税務に強いところが良い、東京・大阪他にも重要拠点があるので全国展開しているところが良い、上場を目指している、法務・人事労務などワンストップで相談出来ると良い、こういう要望があるならば、そういうサービスを提供しているある程度規模の大きい税理士法人に限られると思います。
当然、いろいろ対応出来るところは、報酬もそれなりに高い傾向があります。
ポイント2 個人事務所か法人か
税理士が1名でやっている事務所から、数百人以上が在籍する大規模法人まで税理士事務所の規模、サービス内容は様々です。
大規模になればなるほど在籍している人材も多様なので、どういう担当になるかは、その事務所の顧客の中での重要度によって変わってくると想定されます。他社よりも高い報酬を支払えるなら、より高レベルな担当(あるいは税理士)をつけてもらえる可能性が高くなるでしょうし、担当変更の頻度も変わってくるでしょう。
ポイント3 経験・熟練度
経験が長ければ良いというわけではありませんが、ある程度の経験は必要かと思います。もちろん、経験したことがない新しいことにでも、すぐ対応できる柔軟性も必要でしょう。
事業会社で働いた経験があるのか?、その業種・職種は?、税理士として対応したことのある業種なのか?、などなど、自社に関連する経験について、面談の際に確認出来ると思います。
ポイント4 税理士事務所に依頼する業務の考え方
社内で行うべき業務なのか、税理士事務所に依頼すべき業務なのか、それぞれの会社、
それぞれの税理士事務所で考え方の違いがあります。短期的には、無理して対応することも可能かもしれませんが、長期的に考えると、会社側の考え方と税理士事務所側の考え方が近いほうが上手くいくと思います。
・記帳代行
自社で記帳するか、記帳まで税理士事務所に代行してもらうか。
記帳代行を積極的に受けるところと、自社での記帳を推奨するところがあります。
・税務申告
法人税、所得税については、ほぼ税理士事務所に依頼するので違いはないですが、相続税は対応する税理士事務所と、外部を紹介・外部へ再委託する税理士事務所に分かれます。
・税務に関する助言アドバイス
税制上のアドバイスはどこでもありますが、保険や不動産などのいわゆる節税アドバイスをするかどうか
・経営に関する助言アドバイス
経営計画の作成やその実績管理など、経営に関する業務を税理士事務所に話すかどうか。売上に関する領域には口を出さないという事務所と、積極的に関与するという事務所があります。
・融資に関する助言アドバイス
銀行融資の斡旋など積極的に関与する事務所と、銀行との交渉などには口を出さないという事務所があります。
・補助金、助成金
補助金申請などに積極的に関与する事務所と、口を出さないあるいは他士業を紹介する事務所があります。
坂元広隆税理士事務所の場合は
ポイント1 提供するサービス
国際業務、全国展開、上場準備、などは対応出来ません。
弁護士、社会保険労務士などは、同じ事務所にはいませんので、可能な範囲で提携している士業の方をご紹介させていただきます。
ポイント2 個人事務所
税理士1名の事務所です。
全クライアントを私が直接担当させて頂く方針で、規模の拡大は目指していません。
リスク対策として、記帳丸投げは基本的にはお受けいたしません。
自社で毎月記帳し、経理資料も手元に有れば、税理士を変えることも難しくはないと考えています。
※弊所としましては、顧問契約を打ち切られることが無いように緊張感を持ってサービス向上に努めています。
ポイント3 経験・熟練度
事業会社での経験が2社(計17年)有ります。
情報通信大手企業(㈱リクルートの情報通信ネットワーク事業部門 部門人員約500名)で、事業部の事業計画の作成、事業部・部・課の経営目標の作成および実績管理、投資計画のシミュレーションなどを担当していました。
飲食・通信販売の会社(グループ従業員約300名)では、総務・経理担当役員として、通常の経理・人事・総務業務に加えて、飲食店舗の出店サポート、FC本部としての業績管理システムの導入、店舗受発注システムの導入、通信販売システムの入替、在庫管路SaaSシステム、の導入などを担当する機会を得ました。
いずれの会社でも、経営計画・目標を掲げ、その実行を管理することの重要さを学びました。
税理士事務所での業務経験は計15年ほどで、様々な業種の会社・個人を担当させていただきました。いずれも資産税専門事務所ではないものの、相続税申告は10件以上担当していますし、大学院の修士論文テーマが、「取引相場のない株式の評価」であったため、民法・会社法・相続税法などを体系的に学ぶことが出来ました。
会計ソフトは、弥生会計、勘定奉行、freeeなどを主に利用。税務ソフトは、現在JDL、過去にICS、MJSの経験があります。
ポイント4 税理士事務所対応業務の考え方
・記帳代行
上記のとおり、自社での記帳が原則です。
弥生会計やfreeeなどの導入サポートには、力を入れています。特にfreeeは、他の会計ソフトとは設計思想が違うので、初期設定など導入サポートからお手伝いさせて頂くほうが良いと考えています。
・税務申告
法人税・所得税の申告をメインとしております。
顧問先法人に関連する相続税申告、株式評価、相続対策、などは対応いたしますが、単発の相続税申告には対応できません。
・税務に関する助言アドバイス
正しい「節税アドバイス」は行いますが、いわゆる「節税商品」である保険や不動産などの紹介は行いません。ほとんどが今期の節税になるだけで、累計では良くて±0で、キャッシュが出ていくだけというケースが多いからです。
手数料収入を稼ぐために、事務所の都合で保険や不動産を勧めることはいたしません。
・経営に関する助言アドバイス
可能な限り先行指標を取り入れた計画を立てて、その実行後の、検証、修正を社長ともに考えるのが毎月のミーティングの役割だと考えています。
実行するのは、社長様はじめ社員の皆さんですが、出来る限り伴走いたします。
・融資に関する助言アドバイス
事業計画は毎期作成済みという前提で、可能な限り、銀行融資のお手伝いをいたします。変な「節税」を続けていると、いざという時に融資も受けられませんので、毎期の積み重ねが重要と考えています。
・補助金、助成金
補助金ありきの投資計画、助成金ありきの採用は、不健全だと考えています。
長期的な事業計画の中で利用できる補助金・助成金は、積極的に活用するべきですので、しかるべき他士業のかたを紹介させていただきます。